今更だが、2016年末でMake Schoolを去ることにした。Product College(2年コース)の後半戦は2017年1月からだったが戻らず、サンフランシスコにあるシードステージのAIスタートアップでロボット・ソフトウェアエンジニアとして働いている。雑多で恐縮だが、ブログの区切りとして、所感をまとめておきたい。

Make Schoolに入学・入社したときの目標として以下を掲げていた。

  • シリコンバレーのエンジニアと渡り合えるスキルを身につける
  • スタートアップの事業に関わり、スタートアップの経営を学ぶ
  • ベイエリアでインサイダーとしてのネットワークを構築し、日本に繋ぐ
  • 日本の仕事で経験してきた以上の困難な環境に身を置き、問題解決力と精神力を鍛える

いずれもまだ道半ばといったところだが、期待していた通りの経過を辿ることができたと感じている。将来のシリコンバレーを引っ張る若い優秀なエンジニアや起業家たちと切磋琢磨できたお陰で、スタートアップで即戦力としてちゃんとシリコンバレー水準の待遇で雇用され、デザイン思考で有名なIDEOの本社からもオファーをもらえる程度には製品開発のスキルを得られた。プロトタイピング寄りの単独でのアプリの企画・開発と、細部まで完成度が求められるチームやオープンソース向けの開発の両方を経験できたのは良かったし、コーディングだけでなくマーケットリサーチやデザイン、もしくはローンチ後のマーケティングやグロースもできるのはやはりMake Schoolの良さだと思う。(ちなみに、自分の製品はアプリビジネスとしては全く成功しなかったが、その後ヨーロッパの会社から技術を使いたいというコンタクトがあり、彼らの製品の一部に組み込むべくコンセプト検証のプロジェクトを行うことになった)

事業運営については、Make Schoolが日本を含めた海外展開を始めるタイミングで関わることができ、日本では日本の企業との事業提携の下でパイロットプログラムを行うことができた。日本のメディア向けのプロモーションも上手くいき、自分の参加前よりも知名度は上げられたと思う。日本での事業展開のその後としては正式にカントリーマネージャーを雇用することになり、バックグラウンドがとてもMake Schoolに合った優秀な方が年初から就任してくれることになった。今後の日本での展開を応援したい。

ネットワークについてはMake Schoolのスタッフからの紹介をきっかけに、着実に広げていくことができた。Make Schoolでの活動がきっかけで始め、サイドワークとして続けていた執筆活動からも、様々な人と出会うことができた。日本の企業や人からの個人的な問い合わせも増え、自分がこれはと思うようなスタートアップと大企業のマッチングを仕掛けたり、エンジニアコミュニティにいなければ知り得ない情報をもとにした発信を行って間接的に啓蒙活動を続けたりすることで、コンサル時代からやりたかったことが色んな成果として見られるようになったのは感慨深い。

そして、年下の起業家や優秀なエンジニア・デザイナーたちに囲まれたMake Schoolでの競争や、友人とやっていたスタートアップでのサバイバル経験、多くの時間と労力を費やしたビザ問題などを通じて、自分で解決の糸口を探すためのマインドセットと引き出しができたように思う。必ずしもスマートではないが、曲がりなりにも目標達成ができるという自信がついたのは、今後に向けた糧になると思っている。こうしたチャレンジとそれを乗り越えた経験は自分のキャリア感にも変化をもたらしたように感じていて、これからは時間をかけてでも難しいことに挑戦していきたいと思っている(もしそうした難題をお持ちの方はご連絡下さい)。

半分学生、半分社員という形で、ビザのサポートも、海外出張も含めた色んな機会提供も行ってくれたMake Schoolには本当に感謝している。

2年プログラムを完遂したわけではないので正確には卒業と言えないのだが、創業者のJeremyもAshuも「卒業おめでとう」と言葉をかけてくれた。自分より年下の彼らからは多くのことを学ばせてもらったので、よく言われたアドバイスを挙げておきたい。スタートアップ的な観点から述べられているが、ライフスキルとしても役に立つはずだ。彼らに負けないよう頑張りたい。

1. Think for yourself

シリコンバレーには、アドバイスをくれる生きる伝説がたくさんいる。でも彼らもたかだか数十年自分より多く生きているだけで、成功も運が良かっただけかもしれないので、アドバイスを鵜呑みにせず、自分で考え抜くことが大事ということだ。アドバイス通りに行動しても、誰も責任を取ってくれない。分からなければ、アドバイスをくれた相手が悪いので、説明を求めるべき。

2. Make something people want

Y Combinatorが唱えていることであり、Make Schoolにも額に入れて飾ってある言葉。技術、製品、事業を考える上で、その使い手に思いを馳せ、それに徹底できるかどうか。今使っている時間は本当にユーザの価値向上につながっているのか。

3. Do ‘real’ work

華やかに見えるメディア対応や講演会は、決してユーザの価値を向上させないし、会社を前進させない。本当の仕事は何なのかを考え、それにのみ時間を費やすべき。また、意味のある仕事を続けることにより、一定時間経ったあとには実績が自然と積み上がっているものだ。それは決して、プロフィールやレジュメを美しく仕上げることではない。

4. Grow

Make Schoolはスタートアップとしても、学校としても、まだまだ未熟だ。以前ブログに書いたように、自分の在籍中も会社として乗り越えなければならない様々なチャレンジが発生した。そんなときに落ち込んだチームの空気を変え、メンバーを高揚させたのはいつもビジネスや学生の成功だった。スタートアップにおける生命線は成長であり、それを続けることが肝要だ。

5. Don’t be a jerk

Make SchoolのProduct Collegeが始まって初めのプレゼンテーションでJeremyから言われたこと。日本語では「やなやつにはなるな」というニュアンスだろうか。これまでの1年半で多くの困難があり、理不尽なことも多くあった。そのせいか分からないが、アメリカに来る前と比べて自分はいいやつではなくなったと思う。でも、やなやつというわけではない。困っている人がいたら助ける、理不尽があれば声を上げる、社会が間違っていればそれを変えるソリューションを生み出す、という当たり前のことを続けていきたい。

離れはするものの、Make Schoolは日本にも良い影響を与えていく存在だと思っているので、引き続きAlmni、Ex-Make Schoolとして彼らの活動をサポートしていきます。いままで通り、プログラムへの参加や共同での事業実施にご興味あればいつでもご連絡ください。

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