シリコンバレーで働いてみたい!スタートアップに興味のある人やエンジニアなら一度はそう思ったことがあるのではないだろうか。そして、思い立って調べてみるも、「アメリカの大学・大学院に行ったほうがよい」「日本の企業で働いて駐在員で行く、AppleやGoogleなど大手IT企業の日本支社で働いてから社内転籍を狙うのがよい」「AppleやGoogleの友達に紹介してもらうのがよい」という至極真っ当な意見を見聞きし、特にあなたが若くない・そんなに待てない・そんなところで働いている友人もいない場合はがっかりしたことがあるのではないだろうか(なお、就労ビザ取得の難しさもあるので、もし若い・待てる・友人がいる場合にはまずは上記をお勧めしたい)。

筆者はアメリカの大学に通ったことがないので詳しいことはわからないが、友人から聞く限り、アメリカの有名大学に通っていれば、企業からリクルーターがわざわざキャンパスまで足を運んでくれるし、学歴のお陰でリクルーター経由でなくとも面接までは進める(レジュメ審査で落ちない)ことが多いようだ。逆に、学歴もコネも無い人がアメリカで職を得るのは大変だ。Make Schoolは学歴に頼らない人が来るところなので、学歴無し・コネ無し向けの就活ノウハウが充実している。筆者自身も学歴無し・コネ無しの状態から色々試行錯誤した結果、ジョブオファーを獲得することができた。最近は国籍問わず似たような境遇の人からアドバイスを求められることが多くなってきたので、同じような人には役に立つ情報なのではと思い、その内容を纏めておく。なお、就労ビザについては次回以降の記事を参考にしてもらいたい。

基本的な心構え

海外で就職・転職活動をした人にとっては当たり前のことかもしれないが、日本と考え方が異なるので今一度確認しておきたい。どんなサービスを使おうと、ここが分かっていない限り、オファーを勝ち取ることは難しいだろう。

「エキスパートたれ」

アメリカに日本のような総合職は存在しないし、何でも薄くできる(深くはできない)エンジニアの需要は無い。特定の分野で職歴、プロジェクト歴(+可能なら学歴)を重ね、経験値を溜めることが重要だ。履歴書やLinkedInのプロフィールも自分がどういった職種・ポジションに付きたいかの方向性を明確に打ち出し、特定企業への応募の際は、その企業が公開しているJob Description(職務記述書)に沿って内容をカスタマイズするべきだ。

「数を撃て」

サンフランシスコ・ベイエリアでエンジニアの求人が(日本と比べて相対的に)多いのはスタートアップだ。少数精鋭のスタートアップでは、定期的な採用(大学生向け採用含む)はAirbnbUberのようなユニコーンやGoogleなどの上場企業でなければ行っていない。スタートアップが採用してくれるタイミングは資金調達のタイミングに依存するので、どれほど自分が優秀でも雇ってもらえない場合のほうが多いのだ。タイミングは運次第なので数撃って当たるのを待つしかない。

「コネを作り、生かせ」

アメリカで学歴がない場合、学歴フィルターが大きく道を阻む。また、労働ビザのサポートが必要な場合は、(法律では、国籍などについて本来採用時に聞いてはいけないはずなのだが)応募フォームにはビザのサポートの必要有無のチェック欄が設けられていることが多いので、更に書類で落ちてしまう可能性が高くなる。なんとか面接に持ち込むためには、企業の社員と知り合いになって推薦してもらう、または、その企業に友人を持つ人から推薦してもらうのが効果的だ。繋がりがなければネットワーキングイベントや開発者向けのカンファレンスやミートアップに参加して作り出すしかない。

次に、就職活動をするうえでチェックしておくべきサービスを紹介する。

履歴書代わり、登録必須系サービス

まずは基本編、登録必須のサービスからだ。

  • LinkedIn:必須のビジネスSNSLinkedInと、その内容を一枚にまとめたResume(履歴書)の2つ完璧に仕上げておけば、面接までは進めるはず。書き方についてはコツがあるので、過去のポストを参考にしてほしい。サイト上では求人のある会社を検索することができるし、登録しておけばリクルーターからガンガン連絡が来るようになる。
  • Github:エンジニアは必須。応募の際にアプリケーションフォームでGithubのアカウントを記入することを求められる場合が多く、LinkedInや履歴書にもリンクを張っておくのが普通。コードの良し悪しや、応募職種・プロジェクトと類似の経験が過去にあるかが確認される。
  • AngelList:スタートアップではLinkedInとともに良く使われるSNS。アーリーステージスタートアップの求人によく使われる。LinkedInと同様、自分で求人のある会社を探すこともできるし、自分のプロフィールに興味を持ってくれる企業がいれば連絡が来るようになっている。「Explore Salary & Equity Data」のページでは、職種や勤務地を選択することで給料やストックオプションの相場も知ることができるので、給与交渉前には確認しておくと良いだろう。

サービスではないが、アプリケーションフォームでは自分のポートフォリオサイトのURLを入力する欄が設けられていることも多いので、簡単なものでも良いから作っておくとベターだ。

また、デザイナーならびにデザインに近いエンジニアの場合はDribbleへの登録が必須だと思う。自分の過去のデザインをアップロードしておくことでそこから受託の仕事や本採用に繋がる場合もある。

自分で探す、能動系サービス

上記、LinkedInAngelListでは様々な求人情報が掲載されているので、自ら検索ボックスに企業名や職種を入力して人を募集している企業を探すことができる。そのほか、求人情報が多く載っているサービスとしては以下のようなものがある。

  • indeed:ネット上に公開されている求人情報が集約されたサイト。地域や職種、ポジションなどで絞り込みをかけて使う。キーワードにアラートを設定することも可能で、例えば日本人の強みを生かしたいということであれば”Japanese”と設定しておけば良い(日本食レストランや翻訳の仕事が多いが、たまに日本展開を狙うアメリカのスタートアップや日本が重要なマーケットであるAppleのような会社の求人を見つけられる)。
  • Grassdoor: 日本の転職会議やみんなの就職活動日記のような口コミサイトで求人情報も掲載されている。会社の評判や面接での質問内容(コーディングインタビューの内容含む)、給与のレンジも分かるので、面接前には要確認。
  • Hacker News (Jobs)Y Combinator出身企業の求人情報を中心に掲載されている。夏・冬のDemo Day後には求人が多くなる。
  • Stackoverflow (Jobs): エンジニア向けQ&Aサイトにも求人情報が豊富に掲載されており、筆者の周りでも評判が高い。

この他にも、筆者は利用したことがないがCyberCodersDiceFirstJobというサービスも多くの求人情報が登録されている。

登録しておけば勝手に連絡が来る、受動系サービス

仕組みはどれも同じだが、自身の情報や求めているポジションや給与レンジを登録しておけば、企業側がプロフィールを見てコンタクトしてきてくれる。つまり、以下で紹介しているHiredのウェブサイトの説明の通り「Let Tech Companies Apply to You!」 ということだ。最近メジャーになりはじめたタイプの就活サービスで、自分の友人のうち2人はこれらのサービス経由で就職が決まった。とりあえず登録しておいても損は無いだろう。

試験のスコアが良ければ紹介してもらえるチャレンジ系サービス

採用する企業側は無数の履歴書を受け取るため、それを篩いにかけるだけでも一苦労だ。最近は他のインタビューやスクリーニングのためのプログラミングクイズを外注するためのサービスが増えている。応募する側としては、こうしたサービスで良い成績を残しておけば、確実に面接まで進むことができる。アメリカで大した学歴がないのであれば、こういった実力至上主義のサービス使うことが有効だ。

  • Triplebyte: Y Combinator出身のプログラマー採用試験代行会社。インタビュープロセスを標準化することで雇用する側・される側双方にメリットを生んでいる。数多くの志願者の面接と、その後の企業でのパフォーマンス測定を通じて、どういった企業にどういった志願者がフィットするかというノウハウを蓄積している。比較的難度の高いオンラインでのスクリーニング(一般的なコーディングインタビュー、タイムリミット有りの言語・フレームワークやデザインパターン、アーキテクチャーなどに関するクイズ)を通過すれば、オンサイトのインタビューに招待される。無事オンサイトのインタビューも通過すればY Combinator出身企業を中心に複数社を紹介してもらうことができ、内定がもらえる。
  • HackeRank: プログラミングの課題を解き、他の挑戦者とポイントの高さを競う。不定期で企業が主催するプログラミングコンテストがあり、上位に入れば面接に進むことができる(筆者の友人はこれがきっかけでGoogleに入った)。最近はTwitterなどの企業が参加者を篩いにかけるために採用プロセスの初期段階で使うこともあるので慣れておくといいだろう。
  • interviewing.io: 匿名でUberやDropboxのエンジニアとコーディングインタビューの練習をすることができる。そこで実力が認められれば採用プロセスに乗ることができる。海外のエンジニアに面接してもらう機会はなかなかないだろうから、まずは気軽に面接練習用として使ってもいいだろう。

HackerRankのようなプログラミングコンテスト系のサービスとしてはCodingBatCodingGameCode Warsなどが、純粋なコーディングインタビュー対策のサイトとしてはLeetCodeInterview CakePrampなどがある。

また、あなたがデータサイエンティストでの就職を希望しているのならKaggleのコンペティションに参加するのが良いだろう。

その他、間接的に就職に繋がる可能性のあるサービス

その他、筆者が役に立つと思うサービスを挙げておく。

ToptalGigster: フリーランスとしての仕事を受託できるサービス。登録しておくと、企業からプロジェクトを受注することができる(ただし、Toptalは登録しているエンジニアの質の高さを売りにしているため、登録時にも厳しい選考がある)。コントラクターとして接点を持っておけば、仕事の出来次第でフルタイムのオファーをもらうこともできるだろう。

StackoverflowQuoraQ&Aサイト。ここで回答者としての評価を上げておくことで、様々な出会いが生まれる(オンラインのコネクション)。オープンソースプロジェクトごとにGithubやDiscourseなどでのディスカッションもあるので、そういったところで発言を増やすのも良いだろう。

MeetupEventbrite: コネクションを作るには自分の興味や専門の領域に関わるミートアップに参加するのが手っ取り早い。オフラインの繋がりを持っておけば、後日オンラインでのコンタクトが必要になったときも連絡が取りやすい。日本からベイエリアに来る機会があれば、滞在期間中に開催されるイベントを片っ端からチェックしてみるといいだろう。

上記のようなオンライン・オフラインでのコミュニティサービス以外に、メーリングリストやGooglegroupなどもコネを作るためには役に立つ。とにかく数を撃つために、目についたものは片っ端から登録してみるのがいいだろう。コミュニティ内での存在感やオーガナイザとの関係性が強くなってくれば、自分の履歴書を送り、興味を持ってくれそうな会社を紹介してもらうことも可能だ。

また、スタートアップにおいても採用はエージェント(ヘッドハンター)を使っているところも多い。上記のサービス以外に、昔ながらのリクルーターと付き合いを持つことも、選択肢を広げるうえでは損は無いだろう。LinkedInにちゃんとしたプロフィールを公開しておけば、自然と連絡は来る。例えば、日本とサンフランシスコの両方に拠点を持ち、スタートアップに強いエージェントとしてはWahl & Caseという会社があり、実際ベイエリアの日本人エンジニアの何名かは彼らの紹介でこちらのスタートアップで働いている。

(追記:英語が苦手な場合、履歴書や会社に送るメールは事前にネイティブチェックを誰かにお願いするのがよいが、それが難しい場合、Grammalyというサービスは文法チェックを高い精度で行ってくれるのでお勧めだ)

以上、アメリカで学歴もコネも無い人向けの心構えと使えそうなサービスをまとめてみた。他にお勧めのサービスがあれば是非気軽にコメントをもらえればと思う。

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