Make Schoolはアメリカの社会問題の筆頭として挙げられる「教育問題」に取り組んでいるだけあって、スタートアップらしからぬ高潔な方針を掲げていることがある。何よりも事業の成長が求められるシリコンバレーのスタートアップにとって、シリーズAより前の段階で社会貢献まで気にかける会社は多くはない(Salesforceのように創業時からフィランソロフィー活動に熱心で、株式と利益、社員の時間の1%を社会貢献に費やすという「1:1:1モデル」を行っているような会社も中にはある)なかで、投資家からの注目を集めることにも繋がっている。

Make Schoolが大切にするダイバーシティ

ダイバーシティについての考え方がその一つで、Code of ConductとしてGithub上に公開されている(ちなみに教材や講義の様子も多くはGithubYoutube上でオープンになっている)。ここでは、テック業界の成功のためにはダイバーシティを尊重し、人種や国籍、宗教、性別や性向、年齢や肌の色、健康状態、親の地位や結婚の有無などで差別はしないし、こうした内容に関わるハラスメントは許さない、という態度を明確に宣言している。

Diversity is a key element to the success of organizations and the tech community. Freedom of thought and the open exchange of ideas are key to an effective learning environment and central to Make School. That kind of exchange can happen only in an environment that recognizes the value of each person and fosters mutual respect. Make School is committed to increasing and fostering a diverse community of staff and students. (Make School “Diversity and Inclusion Statement”より引用)

実際に、Make Schoolの社員は20人弱にも満たないが、出身国も人種も性的指向も全て多種多様だ。また、先の大統領選で差別的な発言が目立っていた共和党のドナルド・トランプ氏が次期大統領に内定した選挙の翌日、ファウンダーのJeremyAshuが学生を集め、特に海外から来ている学生に対してフォローするためのプレゼンテーションを行っていたのは印象的な出来事だった。

ソフトウェア業界の抱える格差

なぜここまで教育現場においてダイバーシティの尊重が重要視されるのだろうか。ベイエリアのソフトウェアエンジニアはとても高給だが、その恩恵に預かっているのは特定のカテゴリーに属する人たちで「White, Asian, and Male」が支配的だと言われている。

例えば男女比について考えてみる。筆者のMake Schoolにおけるメンターはテック業界で30年以上の経験を持つ「マイノリティー」だが、その人曰く、元々は新しい産業であったIT産業では1970~80年代には女性も仕事場には多かったというが、その後は想像の通り、男性が多数派の仕事になってしまったとのことだ。実際データを確認してみると、アメリカのセンサスが示す下記の図の通り、1990年代まではコンピュータ関連の仕事につく女性の比率は上がり続けていたが、2000年代からは減少に転じてしまっているようだ。

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こうした問題の原因の一つに、マイノリティーの人たちの教育機会格差があり、そういったマイノリティーの人に対してプログラミング教育の機会を提供するGirls Who CodeBlack Girls CodeといったNPO団体が存在する。既存の大学に置き換わる新たな教育機会を提供することを目指すMake Schoolでは、これらのNPO団体と提携することによって格差の解消に貢献している。

学生のデモグラフィー

Product Collegeにおけるマイノリティーの比率はどうなっているのだろうか。外国籍の学生については多数いるが、女性・性的マイノリティーの数はまだ少ないというのが現状で、上記活動を通じて次期以降は比率が改善するよう務めている。

以下の表に、Make SchoolProduct Collegeの第一期生と第二期生のデモグラフィーの変化を纏めてみた。Make Schoolにはアメリカンドリームを求めてやってくる海外からの留学生が多い(トップ画像は2014-2015年に受け取ったSummer Academyの応募者の国籍を表しており、世界中からの応募があることがわかる)。筆者の在籍している2015年9月からの第一期では南アフリカ、オランダ、スロバキア、エジプト、インドネシア、韓国、日本、カナダからの参加者がおり、3分の1が海外から来ている学生だった。2016年9月からの第二期では留学生の数は同様に多く、第一期では参加のなかった中南米からも参加がある。メキシコ、ナイジェリア、インドネシア、タイ、ベネズエラ、ドイツ、カナダ、南アフリカからの参加者がいる。第二期の傾向で特筆すべきはSummer Academy経由の学生が多いことだろう。Summer Academyの海外展開は韓国や中東へと今年は更に広げていく。Summer Academyを通じて優秀な学生を世界中から集め、Product Collegeで収益を上げるという事業モデルを目指している。

第一期生 第二期生
全学生 34人 45人
女性 4人 4人
非アメリカ国籍 10人 10人
学歴 高卒 2割 6割
大学休学・中退 6割 2割
大卒以上 2割 2割
Summer Academyからの参加 3割 8割

参考資料

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