Make SchoolのProduct College(2年コース, Product Academyとも言われる)は現在第一期生(2015年9月~)と第二期生(2016年9月~)が在籍している。第一期生は2016年5月から企業でインターンシップやフルタイムでの勤務を行う期間と位置付けられているため、現在学校に来ているのは第二期生だ。今年9月から始まったProduct Collegeの第二期は45人が在籍しており、日本人も一人いる。第二期は筆者が在籍している第一期の反省を踏まえてカリキュラムの構成が変わっているため、そのことについて紹介しておこう。第一期のカリキュラムについては過去のポスト(Make Schoolのカリキュラム2ndセメスターのカリキュラム)を、第一期を運営するうえでどのような難しさがあったかについては「Product Universityへの挑戦:ブートキャンプではない難しさ」を見てもらえればと思う。

※なお、2017年からホームページも刷新され、プログラムの内容も以前より詳細に記述されている。Product Academy(2年コース)は新たにProduct Collegeという名称になった。

時間割の変化

第一期と第二期の一週間の時間割を比べてみる。第一期は3ヶ月ごとのセメスター制でそれぞれのセメスターごとにモバイル、ウェブ、AIやIoTとテーマがあり、そのなかで前半はレクチャー中心に言語・フレームワークのマスター(図1:第一期前半)、後半はDemo Dayに向けたプロダクト開発とOJT(図2:第二期後半)というような直列的な構成だったが、ここが大きく変更になった。

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図1: 第一期前半の一週間のスケジュール例

 

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図2: 第一期後半の一週間のスケジュール例

第二期からは、授業はTutorial、Product、Coreの3種類に分けられ、それぞれはセメスター中に並列的に行われる(図3: 第二期)。第二期から区分けが入ったTutorial、Product、Coreの詳細は次章の通り。

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図3: 第二期の一週間のスケジュール例

 

第二期から導入されたTutorial、Product、Coreクラス、Maker Timeの区分け

第二期から区分けが入ったTutorial、Product、Coreクラスについて説明する。

Tutorialクラス

Tutorialクラスは1クォーター(6週間)に週2〜3回の頻度で行われる。ここでは新たな言語・フレームワークの習得を目的とし、レクチャーとサンプルプロジェクトを中心に進められる。授業の例は下記の通り。

  • Advanced iOS — Networking, Core Data
  • Advanced iOS — UX Design and Animations
  • AI:Twitter Bot — Natural Language Processing
  • MEAN Stack
  • API Design with Flask
  • Ruby on Rails: Building Reddit on Rails — TDD
  • Electronics and Embedded Systems
  • Startup Growth for Getting Investment
  • UX/UI Design & Design Thinking
  • VR Enviornments and Design
  • Docker and Web Applications

Productクラス

Productクラスは1クォーターに週2回の頻度で行われる。製品開発のスキルの習得と、実際の製品開発を行う。各クォーター毎に幾つかのトピックごとのグループに分かれ、マーケットリサーチから始まる(リサーチでは実際に病院の現場などにインタビューに行ったり、コールドコールを行ったりする)。例えば下記のようなトピックがある。

  • The Digital Divide
  • War and Peace
  • Cars
  • Education
  • Health(care)
  • Refugees
  • Travel
  • The Home
  • Politics & Government

Coreクラス

Coreクラスは週2回の頻度で全学生を対象に行われる。例えばGitの使い方からメールの書き方まで、デベロッパーとして必要な汎用的なハード・ソフトスキルについて学ぶ。アントレプレナーシップやスタートアップのマネジメントに関する内容、就職活動の支援などについてもここに含まれる。例えば下記のようなトピックがある。

  • Becoming a 100x Dev — Productivity
  • SCRUM & Agile Development
  • Core Data Structures, Problem Solving, and Interviewing
  • Advanced Data Structures, Problem Solving, and Interviewing
  • Lean Startup Methodology
  • Mentorship and Networking
  • Growing your Career

Maker Timeとゲストレクチャー

クラス以外の時間はMaker Timeとされ、コーディングに集中するための時間と位置付けられている。余談だが、Make Schoolのなかでも集中できる場所を作ろうという話があり、地下のスペースは会話禁止のサイレントスペースになった。

また、以前は外部のゲストスピーカーによる講義は不定期開催だったため、予定を立てづらい・コーディングに集中できないというフィードバックがあったため、ランチの時間帯やMaker Timeの時間がゲストスピーカー講義に当てられるよう変更された。

スキルレベルに応じた選択性のクラス

学生は1クォーター中に1つのProductクラス、2〜3のTutorialクラス、そしてCoreクラスを取るように義務付けられる。第一期の課題としてレベルの異なる学生ごとにコンテンツ提供ができていないというものが挙がっていたが、今期からはクラスのコンテンツを細分化し、レベルも段階を分けることによって対応するようになった。

例えば、今年のiOSのクラスではAccelerateコースとAdvancedコースに分かれており、Accelerateコースではクォーター1にレイアウトやUIKitを学んだのち、クォーター2ではDelegateや通信に時間を割くのに対し、Advancedコースではクォーター1にDelegateや通信を終えたのち、クォーター2ではRxSwiftなどFRP (Functional Reactive Programming)を行うなど他のコーディングスクールでは無いような発展的な内容を学ぶことができた。年明けのクォーター3以降はアニメーションやC APIの扱いなどが予定されている。

クォーター制の導入

説明が後回しになってしまったが、第一期で採用していたセメスター制を更に半分に分割した単位としてクォーター制が採用された。セメスター制だとどうしても目標設定が曖昧になりがちであり、また、細分化が進んでいった際にレクチャーとして共有すべきことが少なくなってしまう。6週間ごとにフォーカスを決め、スキル習得とプロダクトのローンチに努められるようになった。

また、生徒個人のスキルの伸び具合と進路選択においても、クォーター制の採用は今のところ効果を発揮しているようだ。エンジニアとして職を得る際に、「iOSエンジニア兼フロントエンジニア兼バックエンドエンジニア」として採用されることは無い。生徒のレベルが企業で通用するレベルに近づくにつれて、また、生徒が起業志望の際にプロダクトの方向性が固まるにつれて、磨くべきスキルや集中すべきプロダクトが明確になってくる。そのため、クォーターごとにその見直しを行うことで、アジャイルに目標達成に向けた調整を行うことができる。

ブートキャンプ型から従来大学型への回帰

こうしたカリキュラムの変化はブートキャンプ型から従来大学型への回帰を思わせる。Make Schoolはコーディングブートキャンプと大学のシステムのいいとこ取りをして、スキルを継続的に身に着けつつプロダクト作りに励むことのできる環境整備に努めている。まだ第二期ということでバランスの取り方は試行錯誤が続いているが、第一期から在籍している立場としては、「大学の代替」としての場はよりオーガナイズされ、多くの人に勧められるものになってきていると思う。

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