今週はインターンシップ・本採用のためのインタビューが幾つかあり、外出することが多かった。エンジニアの採用プロセスは日本と大差無いように思うが、電話やスクリーンシェアでのインタビューのあとはオンサイトでのインタビューが実施されることが多い。実際に働く環境を見たり、ハードウェア系企業の場合はプロダクトを説明してもらえたり、採用担当以外の社員と話したりすることができるため面白い。Make Schoolの授業もインタビュー対策に関するものが多くなっており、最近はinterviewing.ioというスクリーンシェアでのコーディングインタビューができるウェブサービスをベータユーザとして使わせてもらったりもしている。また、Y Combinatorの卒業生向けSNSでBookfaceというのがあるらしいのだが、そこに各学生のプロフィール+レジュメを投稿してもらえるらしい(こちらでの就職活動についてはまたいずれ纏めてみたい)。

それ以外では、金曜日に行われた500 StartupsのDemo Dayに行ってきた。ベイエリアでは今週〜来週とイベントが多く、今週はInternet of Things World、来週はMaker FaireとIoTに関わる集まりが多く予定されている。IoTに関連するトピックで、新しい(日本ではまだ取り上げられていない)キーワードとして”Internet of Actualization“又は”Actuated Internet“というコンセプトが出てきているので紹介しておきたい。

Internet of Actualization (Actuated Internet)とは

今日のインターネットは20年後には本物の(actual)インターネットではなかったと言われ、1980年代後半のコンピュータ産業、2000年頃からのGoogle検索と同様に2016年はインターネットがスクリーンという制約を越える契機となった年として記憶される・・・。そう信じる人たちが今考えているのがInternet of Actualizationだ。進化する人工知能と現実(物理)世界のオブジェクトが繋がり、仮想世界であるインターネットを通じて物理世界の様々なパラメータに命令を下し、コントロールできるような世界を実現するという考え方で、現在のインターネット、IoTの先に位置付けられるコンセプトだ。

actuated Internet — a virtuous circle of real world objects, at-scale artificial intelligence, and command and control that animates everything of value in our lives.
(出典:Android’s Founder Wants To Give The Internet A Body)

Androidの父、Andy Rubinが見据えるInternet of Actualizationの可能性

Androidの父として著名なAndy Rubin氏は、Googleのロボット部門のトップを退いたあとの去就が注目されていたが、現在はPlaygroundというハードウェアスタートアップ向けのベンチャーキャピタル(VC)を立ち上げ、インキュベーションのサービスを行っている。オフィスにはデザイン、プロトタイプ用のスタジオが併設されており、出資先のスタートアップはPlaygroundが抱えるデザイナーたちに無料で働いてもらうことができる。小売店や中国の製造企業とも提携しており、ハードウェアスタートアップにとって至れり尽くせりな環境が用意されている。

Rubin氏によれば、1970年代のコマンドライン、80年代のGUI、90年代のウェブ、2000年代のモバイルと、10〜15年おきに新しいコンピューティングのプラットフォームが誕生しており、所謂What’s nextを考えた際に、人工知能(AI as a service)とそれが動かす物理世界(Internet of Actualization)に行き着いたということだ。インターネットが物理世界の導火線となり、魔法のように世界をコントロールすることができる(デジタル世界で起こっていた魔法の絵の具でアトムの世界も塗っていく)日がくることを目指し、20年はかかる大きな挑戦と位置付けて活動を始めたようだ。

Playgroundの投資先:Internet of Actualizationの先鋒

Playgroundの投資先の会社のほとんどが、現実世界に対して何らかの影響を及ぼすことが可能なハードウェアをプロダクトとして作っている。Rubin氏曰く、インターネットは壺の中の大きな脳みそであって、壺の外の世界とは繋がっていない。その分断されてしまっている2つの世界を接続する会社、プロダクトに出資しているという。以下、pHinuAvionixCastARについて紹介する。

pHin

pHinはプールやバスタブ用の小さなデバイスで、pHなどデータを収集・分析し、適切なpHに調整するために適切な量・配合の化学品の投入までを行っている。

uAvionix

uAvionixは著名なエンジニアのPaul Beard氏によって立ち上げられた会社で、ドローンの位置測定・インターネット接続を可能にするPingと呼ばれるデバイスを開発している。パイロットが衝突回避のために受け取るADS-B (Automatic Dependent Surveillance – Broadcast) という情報をドローンでも受信できるようにしたものだ。

CastAR

CastARはGoogle Glassなどと同様メガネデバイスを使ったAR技術を手掛けるスタートアップだ。Magic LeapやMicrosoftのHololensが競合にあたるが、現在は主にゲーム向けでの活用を考えており、裏側に強力な人工知能プラットフォームを抱えているのが強みだそうだ。

IoTの発展段階として、現在はまだ(製品、地域、又は業界など境界を越えた)センシング〜分析に留まっているが、この先20年というところでは分析の人工知能による強化と、その結果の物理世界へのフィードバックへと発展していく。筆者が追っている「ものづくりとITの融合」の先にはInternet of Actualizationの時代が待っている。Andy Rubin氏とPlaygroundがそこに向けて動き出したことにより、進化のスピードは加速して行きそうだ。現実世界で魔法を実現するために何ができるか、考え、行動していきたい。

参考資料

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