2ndセメスターのDemo Nightが4月28日に決まった。6週間程度と短期での開発になるが、1stセメスターでは基本的に単独プロジェクトだったのに対して、今回は3~4人でのチームプロジェクトになる。希望者がプロジェクトのアイデアに関するピッチを行い、メンバーを募った。筆者も高齢者介護向けのセンシングやテレプレゼンスのアイデアをピッチしたが、残念ながらアイデアへの賛同者がおらず、他の学生のチームにジョインすることになりそうだ。

今週はロサンゼルスに用があり、先週末から滞在していた。お会いしたいと思っていたLA在住のライターの方と会合を持つことができたほか、ブロックチェーンを活用したIoTプラットフォームの開発を行っているSlock.itのコミュニティオーガナイザであるGriff Green氏の話を聞く機会に恵まれた。Slock.itはドイツの会社であり、Griff氏は普段シアトルからリモート勤務をしているのだが、休暇でロスを訪れていたという偶然だ。内容はよく知っている人にとっては超入門なのだろうが今後もなかなか機会は無いであろうから話を纏めておきたい。なお、ロサンゼルスのベニスビーチ沿いにはGoogleの支社やSnapchatのオフィスが立ち並び、「シリコンビーチ」と称されている。ベイエリアと比較すると見劣りはするが、ミートアップ会場であったエンタープライズ向けブロックチェーンプラットフォームの開発を行うGemのオフィスは開放的であり、まだ肌寒いSFと比べると羨ましい環境に思えた。

DAOの特徴

Griff氏の講演はDAOの特徴についての解説から始まった。DAOとはDecentralized Autonomous Organizationの略で、スマートコントラクトの集合・連鎖を長期・永続的に行うことによって対象とする組織・システムを自律分散化させる概念だ。Griff氏によれば、インターネットとの違いは自己組織化の有無にあるという。ちなみに、スマートコントラクトとは契約行動をプログラム化し、自動的に実行するものである。よく挙げられるレンタカーの例では、1,000円投入するごとに1時間動作するというプログラムを組み込むことで、3,000円支払ったあとには3時間経過後に自動的に車の鍵がロックされるというシステムだ。IoT、自動運転やIndustrie4.0と密接に関係している。

BitcoinとEthereum

次の話題はBitcoinとEthereumだ。Griff氏はBitcoinの歴史を振り返りながら、Bitcoinのマイニングという仕組みが自己組織化のためのインセンティブを与えた巧い仕組みであり、世界初のDAOはビットコインであるという。次にEthereumだが、これはスマートコントラクト・次世代分散型アプリケーション(DApps)の構築プラットフォームのことだ。解説はBitcoin日本語情報サイトに詳しかったが、「ビットコインや他の総合プラットフォーム型ビットコイン2.0プロジェクトの多くは、開発チームのみがスマートコントラクトコードを記述・実装可能であったり、ブロックチェーン上でのスマートコントラクトプログラムの実行に何らかの制限があるのに対し、Ethereumではユーザーが誰でも自由にスマートコントラクトの記述・実行ができ、そのプログラミング言語がチューリング完全(あらゆるプログラムを記述可能という意味)であるのが特徴」とのことだ。余談だが、最近Make Schoolの学生の中での専らの話題はEthereumやそのネットワーク内の基軸仮想通貨であるETHであり、シェアハウス内には巨大なGPUを積んだパソコンを稼働させてマイニングが行われている状況だ。

Ethereumの学び方

Griff氏も述べていたように、Ethereumは開発者にとっての自由度が高く、開発環境も急速に整備されつつある。Solidityという言語で記述することができる。オススメの学び方は?という質問に対してはEthereum Walletをダウンロードして色々試してみるのが良いとのことであった。EthereumもSlock.itも全てのコードを公開しているため、習うより慣れろということなのだろう。また、非開発者向けにはEthereumの公式ブログの記事を勧めていた。紹介されていた記事は下記の通り。Griff氏はSlock.itのコミュニティ運営を担っているのだが、Slock.itのSlackチャネルでは日々活発な議論がなされており、Slock.itのメンバーからのサポートも手厚いとのことなので、興味がある方は登録してみると良いだろう(Slock.itのウェブサイトからメーリングリストを購読すると、後日Slackチャネルへの案内が届くことになっている)。

Slock.itの取り組みとアプリケーション

最後に、Slock.itが現在取り組んでいることについても説明があった。Slock.itはドイツに拠点を置く会社で、英語ネイティブはGriff氏だけとのことだ。2015年の6月にプロジェクトが開始され同年11月にEthereum Computer(Slock home server)という名のプロダクトを発表した。まだプロダクトは全くできていないにも関わらず注目を集めているだけあって、コンセプトは面白い。詳細はSlock.itが公開しているYoutubeの動画が分かりやすい。これはEthereumの各分散ノードを繋ぎ、分散化アプリケーションを実行するためのハブとなるもので、様々なIoTのプロダクトとEthereumを連携させることができる。例えば、シェアハウスのある住人が洗濯機を買ったとして、他の住人がそれを使いたい時にEthereumで支払いを行えば洗濯機が使えるようになったり、AirBnBのようなシェアリングサービスにおいて、お金を払うと払った金額に応じた時間だけ鍵を(遠隔で)解錠したり、といったことが可能になる。実際Slock.itではシェアリングエコノミー向けの保険商品を提供するSafeShare Insuranceという会社と提携してアイデアの具体化のフェーズに進んでいるようだ。他のアプリケーション例として挙げられていたのは自動運転やEVといった自動車産業だ。自動運転では支払額に応じて移動距離が、EVでは支払額に応じて供給電力量が決まるという仕組みが考えられていた。

アプリケーション自体はまだまだ発展途上のアイデアといった印象だが、Ethereumのコンセプトの斬新さと開発者コミュニティの盛り上がりから、今後大きな注目を集めていくことは間違いない。特にIoTとの関わりにおいてどのような影響があるのかについて、継続的に考えていきたい。

 

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