Demo Nightを終え、先週からSemester 2が始まった(カリキュラム詳細)。HTML/CSSとJavascript/jQueryの復習はそこそこに、今週はReact.jsなどのJavascript系のフレームワーク、来週からはRuby on Railsと相変わらず怒涛のペースで授業は進められていく。このセメスターではウェブ開発を中心に、プロジェクトを複数回行うことになる。Semester 1はTwitter bot、Trip planner、そして各自が作るiPhoneアプリと3つの単独プロジェクトで行ったが、Semester 2では2つ目に予定されるRedditのクローンプロジェクトでは2人1組、その後の独自プロジェクトでは3~4人1組でチームを組成する。実際に企業で開発を行う際の働き方に慣れ、プロダクトマネジャーとしてのスキルも得ることが狙いだ。セメスター終盤にはオープンソースプロジェクトへの取り組みを行うことで、更に大規模なチームで働くための準備となる見込みだ。

Demo Nightを終え、まだまだベイエリア+一部の地域限定ではあるもののMake Schoolへの注目度は着実に増している。最近では日本人の受験者からの連絡や、日本のメディアからの問い合わせも増えてきているため、Make Schoolが注目される背景と、日本人がMake Schoolについて知っておくべき理由について整理しておく。

アメリカの高等教育が抱える問題に対する解決策としての期待

日本でも高等教育の改革に関する議論は尽きないが、アメリカでは大統領選の一つの争点になっている。特にコンピュータサイエンスの分野は新産業として注力分野になるため、強い関心を集めているという状況だ。問題点として挙げられるのは
(1)授業代が高すぎる
(2)4年(+2年+3年)は長すぎる
(3)大学で教えられることが就職してから使えない
と認識している。(1)と(2)については、スタンフォード大学のように年収に応じて学費免除の措置を取る大学も存在するが、多くの大学生が学生ローンでやり繰りするなどしてお金に困っているのが現状だ。(3)については、IT産業は技術進歩が早過ぎるため、企業で必要なスキルと学校で教授陣が教えられる内容にミスマッチが起こってしまっている。

 参照:Who Y Combinator Companies Want(中盤あたりの表を引用。企業はProduct programmerを求めており、Academic programmerを求めていない)

Make Schoolはそれに対して
(1)アップフロントコスト無し
(2)2年(インターン期間除けば実質1.5年)
(3)産業界出身の講師による、Tech系企業で現在使われている言語・フレームワークをカバーした実践授業と、頻繁な企業との交流
により、問題解決を図ろうとしている。

先日バイラルしていたRedditの議論のように、Make Schoolのような短期育成プログラムには賛否両論があり、確かに研究者を育てるにはふさわしくないのかもしれない。しかしながら、入社当日から即戦力が欲しいベイエリアの企業のニーズとは非常にマッチしているのが、これまで企業の担当者と話してきた所感だ。実際学生にとっても、高校卒業後の学生、有名大学ドロップアウトの学生、そして筆者含めインターナショナルな学生や社会人などから現実的に選ばれる選択肢になっている。

アメリカの高等教育改革の流れが日本に与える影響

こうしたアメリカでの変化に対して、日本には今後どのような影響が考えられるだろうか。まず日本の高等教育関係者にとっては、大学を出ることの価値が学位取得では無くなりつつあること、それにより、学生が「社会で役に立つスキルと有名企業への内定を高速かつアルバイト無しで得られる」方に流れていく可能性があることを、顕在化しつつあるリスクとして捉えておくべきではないだろうか。

また、学生にとっては、そういった選択肢があることを知っておくことにより、優秀な学生ほど無駄な時間を過ごさずスキルアップに注力して生涯年収の向上に努められるだろうし、海外では同年代の若者が20歳でFacebookなどのTech系企業で働いたり、スタートアップのCTOに採用されたりすることを見れば、刺激を受けるのではないだろうか。

最後に、産業界にとっては米国での採用方法の変更に伴って、学歴不問・実力と実績重視の採用に日本を含む全社として切り替えていく可能性はインスピレーションを受けるかもしれない。また、アメリカの教育改革のこの動きは、人材育成期間を数年早めることによって人材供給量の更なる拡大を図ろうとする意図と取れないことも無いだろう。日本ではただでさえIT系の人材不足が叫ばれているなか、更なる相対的な競争力低下へ危機感は募るばかりだ。

高等教育における破壊的イノベーション

以上、改めてMake Schoolについて注目すべき理由を纏めると、「高等教育における破壊的イノベーション(すなわち、これまでの学歴社会においては必須であった学位に対する価値が新興企業では問われず、なおかつ、アップフロントコストも無いため、長期的に価値観が変化した際に一気に置き換わり得るという意味合い)であるMake Schoolが、大学にはその存在意義を問い、学生には新たな可能性を提供し、(日本の)産業界には人材供給システムの変化による競争力低下のリスクを生む可能性を秘めており、既にアメリカでは議論を生みつつも好意的に受け入れられ、現実的な選択肢として選ばれているため」といったところだろう。

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