12月14日週が1stセメスターの最終週(Week13)だった。週後半にはクリスマス休暇でサンフランシスコを発つ学生が多かったため、少し早いが12月15日に皆でクリスマスを祝った。プレゼント交換はWhite Elephant Gift Exchangeというゲームを交えて行った。

この時期になるとクリスマス&ニューイヤー休暇に入る人が増えるせいか、忘年会というわけではないのだがMeetupのイベント数が多くなり、幾つかロボット関連のパネルディスカッションやセミナーに参加してきた。ロボット分野でホットなトピックと言えば人工知能やそれを用いたパーソナルアシスタント、ドローンや自動運転が挙げられるが、もう一つキーワードとして聞かれたのが「ソフトロボティクス」だ。

ソフトロボティクスとは

ジャーナルによれば、ソフトロボティクスとは「弾性学・流動学の特性を有する流体・ゲル・エラストマーなどで構成される」ロボット分野である。柔軟で変形可能な性質を生かし、これまでの(ハードな)ロボットで対応できなかった領域への応用が期待されている。柔軟な素材にワイヤや空気圧、形状記憶合金(SMA)を駆動方法として利用している。具体的な開発事例としては

  • 対象物に馴染み、傷つけない性質を生かしたロボットハンド(エンドエフェクタ)や介護ロボット
  • 柔軟な動作の性質を生かした災害などでの過酷環境作業向け生物模倣ロボット(魚型、タコ型など)
  • 非金属である性質を生かした侵襲医療用ロボット

などが存在する。骨格を持たず、駆動方法が限定的なため、力が出しにくいことや動作の制御の複雑さが課題だ。但し、イベントでNASAの研究者が語っていた通り、宇宙空間など人が直接介在することが難しい条件下においては、モータ等の動力源を使わないことによる故障しにくさやエネルギー効率の良さが大きなメリットとして受け取られているようだ。

オープン化による開発の加速化:Soft Robotics Toolkit

変形の自由度が柔軟性という強みを生む一方で、制御の複雑さという課題が出てしまっていたが、その課題解決に向けた強力なツールが2014年に登場した。それがSoft Robotics Toolkitだ。Harvard Biodesign LabやTrinity College Dublinの研究者により公開されたこのツールキットは、オープンソースでソフトロボットの開発に必要なボードや、デザイン・製造・制御等の方法をチュートリアル付きで開示している。また、開発競争を促すためのコンテストも開催している。ロボット工学に加え素材などケミカル系の知識も必要となるためソフトロボティクスへの取り組みのハードルは高かったが、このツールキットと安価な3Dプリンター等の装置の普及により、開発の加速化が期待されている。

素材企業への期待

製品性能の一端を担うデザインがオープンソースで実現されたとは言え、究極のソフトロボティクスである人間の筋肉群と同等の素材が開発されていない今は、素材開発及び選択の余地が大きく残されている状況と言えるだろう。ウェアラブルへの取り組みを通じて、素材による「センシング」の知見を蓄えつつある日本企業の次の一手は、ソフトロボティクスの制御のような素材による「動作」になるのかもしれない。実際、ラボレベルで取り組まれているソフトロボットは空圧装置など駆動に関わる部分が大きすぎるため、とても現場で使えるようなイメージは湧いてこない。研究事例では動作に応じて素材の色が変化するソフトロボットも開発されているようだが、駆動力や制御といったボトルネック課題の解決に対して日本企業への期待は大きい。

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